(1)「相続」って何?

知っておきたい法律の知識

◆「相続」とは?

「相続」とは、人が亡くなった時に、その人の所有していた財産、権利、負債を家族等が受け継ぐことを言います。

法律的に定義すると、「相続」とは、特定の個人の死亡により、その者の権利義務が、その者と身分関係を有する法定の相続人に包括的に承継されることをいう、となります。

亡くなった人を「被相続人」といい、相続によって財産などを受け継ぐ権利のある人を「相続人」といいます。

◆「相続」と似た制度に、「遺贈」「死因贈与」があります!

「相続」とは、人の死亡により、財産が一定の親族自動的に移転することです。

「遺贈」とは、 遺言により財産を他人も含めて相手に無償で与えること です。

「死因贈与」とは、契約により死亡時に財産を他人も含めて相手に無償で与えることです。 「生前贈与」との違いは、どちらも契約により財産を与えますが、生前に与えるか、死亡時に与えるかという点です。

それぞれの違いは次のとおりです。


  内  容   当事者の呼び方 財産を取得
する人
財産移転の時期
相続 人の死亡により、
財産が一定の親族
自動的に移転
すること
被相続人 (財産を引き
継がれる人)
相続人 (財産を引き
継ぐ人)
一定の親族
関係にある人
詳細は「相続人」
のコラム参照
被相続人の死亡時
遺贈 遺言により財産を
他人も含めて無償
で与えること
(一方的に与える)
遺贈者 (財産を上げる人)
受遺者 (財産をもらう人)
誰でも 遺贈者の死亡時
死因贈与 契約により死亡
時に財産を相手
に無償で与える
こと
(双方の合意に
よる)
贈与者 (財産をあげる人)
受贈者 (財産をもらう人)
誰でも 贈与者の死亡時

◆相続開始の原因とは?

1.人の死亡

2.失踪宣言

があります。

「失踪宣告」とは、失踪など行方不明の人がいる場合、残された家族は財産の処分など不都合が生じるため一定の要件で、行方不明の人を死亡したものとして扱う制度です。

戦争や海難事故の危機に遭遇した場合の「特別失踪」と、それ以外の長期間の失踪状態にある「普通失踪」があります。

「特別失踪」は、危機が去ってから1年以上経過すると、「戦争や海難事故が去った時」に死亡したとみなされ、相続が開始します。

「普通失踪」は、失踪時から7年以上経過すると、「7年の失踪期間満了時」に死亡したとみなされ、相続が開始します。

「失踪宣告」は、残された家族など利害関係人から家庭裁判所に失踪宣告の申立ての手続きをする必要があります。

◆相続開始の時期は何時なの?

相続は、相続は被相続人が死亡した瞬間に当然に開始します。相続人がこれを知っていたか 否かを問いません。

⑴ 自然的死亡

現実に死亡事実が発生した時

⑵ 失踪宣告による擬制死亡

普通失踪

7年間の失踪期間満了の時

特別失踪

危難が去った時

⑶ 同時死亡の場合

相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡時)に生存していなければならない(同時存在の原則)

同時死亡の場合は、これらの者の間では一方の死亡時に他方は生存していなかったことになるため、その相互間において相続は開始しない

代襲相続は、被相続人と被代襲者の同時死亡の場合にも開始する。

代襲相続とは、故人に代わって別の人が相続する制度のことです。子が相続人であった時、子が亡くなっていた場合は、子に代わって孫が相続人になりため、代襲相続人といいます。

代襲相続できるのは、子(直系卑属)と兄弟姉妹のみとなります。

◆まとめ

1.「相続」とは、人の死亡により、財産が「一定の親族」自動的に移転することです。

2.亡くなった人を「被相続人」といい、相続によって財産などを受け継ぐ権利のある人を「相続

人」といいます。

.「相続開始の原因」は、「人の死亡」「失踪宣言」があります。

4.「失踪宣告」とは、失踪など行方不明の人がいる場合、残された家族は財産の処分など不都合が

生じるため一定の要件で、行方不明の人を死亡したものとして扱う制度です。

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