(10)「相続人でない人」にも遺産を残せるの?(遺贈とは?)

知っておきたい法律の知識

◆「相続人でない人」にも遺産を残せるの?

自分の財産を誰に承継するかは、その財産を所有している人の意思が優先されるべきです。

相続においては、「遺言」が無い場合は、被相続人の遺産は、法定相続人が相続することになりま

すが、「遺言」がある場合は、被相続人の意思を明確に表示する「遺言」最優先されます。

「遺言」によって財産を与えることを「遺贈」といいます。

「遺贈」により財産をもらう人を「受遺者」といいます。「受遺者」は、相続人でも相続人以外の

でもかまいません。ただし、「遺留分」には注意が必要です。

つまり、相続人でない人に遺産を遺すことが、「遺贈」という方法で可能になるのです。

「遺贈」する場合、遺言書に「○○に預貯金を遺贈する」という文言を用います。

■包括遺贈と特定遺贈とは?

遺贈には、「包括遺贈」「特定遺贈」があります。

「包括遺贈」とは、「財産の1/4を与える」など割合を示して行う遺贈の場合をいいます。この場合、受遺者はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も、同じ割合で承継することになります。包括受遺者は、相続人と同じように遺産分割協議に参加することになります。また、包括受遺者は、遺贈を放棄するには、相続人に準じて自己に遺贈があったことを知ったときから3か月以内相続放棄と同様な手続きをすることになります。

「特定遺贈」は、「○○の土地を与える」など特定の財産を指定して行う遺贈の場合をいいます。

特定遺贈の場合は、債務を負担するということはなく、意思表示だけで遺贈を放棄できます。


        包括遺贈        特定遺贈
内容 被相続人の死亡により、その者の権利及び義務が受遺者に自動的に移転すること 遺言により財産を他人に無償で与えること。また受遺者に一定の義務を負わせる負担付遺贈もできる
受遺者の権利義務 相続人と同一の権利義務を持つ 遺贈財産の割合に応じて債務も承継する 相続人と同じ資格で遺産分割協議に参加する 遺言で指定された特定の財産を承継する 債務を承継しない 遺産分割協議に参加しない
遺贈の放棄 自己のために遺贈があったことを知ったときから3か月以内であれば、遺贈の放棄または限定承認ができる 遺贈義務者(相続人など)に対して意思表示することでいつでも遺贈の放棄ができる

■遺贈する相手とは?

遺言者が自由に選択できます。ただし、「遺留分」には注意が必要です。

入籍していない内縁の妻(夫)

LGBTのパートナー

世話になった人

世話になった介護施設等の法人

日本赤十字社

交通遺児育英会

国境なき医師団

NPO法人やNGOなど

「遺留分とは?」についての詳細は、コラム【知っておきたい法律上の知識 「18.相続人なのに遺産を全然もらえないの?(遺留分とは?)」】を参照して下さい。

◆まとめ

1.「遺贈」によって、相続人以外の人に遺産を遺すことができます。ただし、「遺留分」には注意が必要です。

2.遺贈には、「包括遺贈」「特定遺贈」があります。

3.「包括遺贈」とは、「財産の1/4を与える」など割合を示して行う遺贈の場合をいいます。

4.「特定遺贈」は、「○○の土地を与える」など特定の財産を指定して行う遺贈の場合をいいます。

5.遺贈する相手は、遺言者が自由に選択できます。

6.入籍していない内縁の妻(夫)、LGBTのパートナー、世話になった人、世話になった介護施設等の法人、日本赤十字社、国境なき医師団、NPO法人やNGOなども受遺者になれます。

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