◆ 飼い主亡き後「ペットのお世話」はどうすればいいの?
犬や猫などのペットは、癒やしを与えてくれる家族のようなかけがいがない存在で、ペットを飼われている人は多くなっています。それだけに「自分が先立った後が心配」と、ペットが行き場を失うことを不安に思う人も少なくありません。
もしペットを残して飼い主が死んでしまったらどうなるのでしょうか。発見が遅れれば、餓死してしまうケースも多くなっています。保護された場合は、ボランィア団体で引き取り手を探してくれることがありますが、見つからなければ殺処分となってしまうこともあります。引き取り手も若い動物を選ぶことが多く、介護の必要になった高齢のペットの引き取り手は、なかなか見つかるものではないのが現状です。
飼い主が亡くなった後、残されたペットは誰に引き取ってもらうのか。誰がその飼育に掛かる費用を負担していくのか。などの問題は自分が元気なうちに、ペットのためにも解決しておくことが必要になっています。
◆飼い主亡き後「ペットのお世話」の具体的な解決策とは?
飼い主亡き後「ペットのお世話」の具体的な解決策は、現在のところ以下のような方法が考えられます。
■「ペット可の介護施設」に一緒に入所する
ペットと一緒に暮らすことができる介護施設もあり、ここでは、ペットと一緒に介護施設に入所できます。ペットの世話はそこの介護施設が行っていくことになりますが、まだそのような介護施設が少なく、費用も高いのが現状です。
■「家族」に飼ってもらう
同居している家族がいれば、家族に継続して飼ってもらうのが一番いい方法です。
しかし、家族も遠方にいたり、施設に入所していたり、病気で世話ができないなどの理由で飼育できない場合も多くなっています。飼育費用分の用意も必要です。
■「遺言書」に記載する
遺言書で、ペット自身に財産を遺すことはできませんが、ペットの飼育をしてもらう人を指定して、その人に飼育費用分の財産の管理を頼むことは可能です。事前によく話し合って承諾してもらっておくことが必要です。もちろん飼育費用分の用意も必要です。
しかし、自分の死後、その指定された人が病気や高齢などの理由で現実にペットの世話ができるかどうかはわかりません。従って、遺言書を作成したからといって万全ではありません。
■「負担付遺贈」又は「負担付死因贈与」をする
これは、遺言書で「○○氏にペット飼育費用と報酬をわたすので、最後までペットを世話を頼みます」という、ペットの世話をするという負担が付いた遺贈をするという方法です。もちろん飼育費用分の用意も必要です。「負担付遺贈」は遺言者の一方的な行為であるので、その人が「負担付遺贈」を受けるかどうかはその人の自由なので、必ずしも受けるとは限りません。
次に、自分とペットのお世話をする人と契約をする形態の「負担付死因贈与」があります。これは、事前に自分と依頼を受けてくれる人との間で、自分の死後ペットを世話を依頼して、飼育費用と報酬分を贈与するという契約です。合意による契約なので、遵守する義務があります。契約書は公証人が作成する公正証書にしておけば確実性が高まります。しかし、依頼を受けて責任を持ってペットの世話をしてくれる人を自分で見つけるのは難しいと思われます。
■「保護してくれる団体」を探す
NPO法人などの団体で、保護犬・保護猫などの事業をしている団体に有料で預けることも考えられます。
あるNPO法人は、個人から有償でペットを引取り、再譲渡先を探す事業を展開しています。一定額を毎月積み立て満期になると、いつでもペットを引き取ってもらえます。急ぎの場合は、全額を一括払い(約27万円程度)することになります。新たな飼い主を探して再譲渡することが基本ですが、譲渡できない場合は、施設で終生飼育することになるそうです。
■「ペットの金融商品」を利用する
ある保険会社は、飼い主の死亡時や入院時などにペットを施設に入居させたり、預けたりする費用を支払う保険を販売しています。期間は1年毎の更新契約で、飼い主が死亡した場合は愛犬や愛猫などを託せる身内の人に最高300万円の死亡保険金を払い、その金額をペットの施設入居費用などに充ててもらう保険です。60歳女性が保険金額300万円(入院日額5千円)で加入する場合、月額保険料は約4千円になるとのことです。90歳まで更新可能ですが、年齢が上がれば原則保険料も上がることになります。
■「ペット信託」を利用する
委託者である飼い主が、家族や友人など信頼できる人を受託者として信託契約を結び、財産を専用口座に預けます。飼い主が死亡したり施設に入ったりしてペットの面倒が見られなくなった場合、あらかじめ決めておいた新たな引受先にペットを引き渡し、受託者は専用口座から飼育費などを新たな飼い主に払うという仕組みです。原則的には、受託者や新たな引受先は委託者である飼い主が見つけることになっています。どうしても引受先が見つからなければ、ペット信託を行っている団体が施設を紹介する場合もあるそうです。また別な信託では、委託者が生命保険に加入して死亡保険金を信託会社がNPO法人などの受託者に信託財産を交付し、NPO法人などの受託者が終生ペットの飼育をする信託もあります。現在は、いろいろな「ペット信託」があるので、自分に合った「ペット信託」の形を探してみるのもいいと思います。
■「老犬ホーム・老猫ホーム」に直接預ける
介護が必要なペットを預かり終生飼育してくれる「老犬ホーム・老猫ホーム」を探して、直接預けることもできます。ある施設では、終身一括制で預かる場合は、ペットの年齢が原則13歳以上で、ペットの大きさ等により、入会金が10万円~20万円、利用料が約86万円~144万円前後となっています。基本的な治療費は利用料金に含まれておりますが、心臓薬のような長期的服用が必要な薬に関しては、飼い主様が負担することになっています。老犬施設・老猫施設もいろいろありますので、探してみることをお勧めします。
◆まとめ
以上、「ペットのお世話」について、いろいろな方法を見てきましたが、どのような方法を選択するにしても、自分自身が元気なうちに解決策を実施しておくことが必要になっています。
問題を後回しておくと、認知症になった場合など、ペットはもちろん、いろいろな関係者に迷惑をかけることになってします。
時間に余裕のある時に、いろいろなNPO法人などの団体、ペットの協会などを探しておいたり、かかりつけの動物病院や獣医に相談することもできると思います。
愛情を持って飼育しているペットですので、信頼できる人か団体かどうか慎重に判断することが必要であると思います。