8.「法定相続情報証明制度」って何なの?

相続ワンポイントコラム

◆「法定相続情報証明制度」って何なの?

平成29年5月29日(月)から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」がスタートしました。この制度を利用することで,各種相続手続を簡略化できるようになりました。

これまでは、相続手続において,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がありました。「法定相続情報証明制度」は、登記所(法務局)戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。この戸籍情報を記載した証明書を金融機関などに提出することで、わざわざ新たに戸籍謄本を取得する必要がないことになりました。

■制度創設の背景とは?

不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要となりますが、近時,相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しており、これがいわゆる所有者不明土地問題空き家問題の一因となっていると指摘されていました。

このような状況を解消するために、法務省において,相続登記を促進するために、「法定相続情報証明制度」を新設しました。

■制度の概要とは?

相続人が登記所に対し、以下の書類をはじめとする必要書類を提出します。

1. 被相続人生まれてから亡くなるまで戸籍関係の書類等

2. 上記1.の記載に基づく法定相続情報一覧図

(被相続人の氏名、最後の住所、最後の本籍、生年月日及び死亡年月日並びに相続人の氏名、住所、生年月日及び続柄の情報)

登記官が上記の内容を確認し、認証文付きの法定相続情報一覧図の写し無料で交付します。

■制度のねらいとは?

本制度により交付された法定相続情報一覧図の写しが、相続登記の申請手続をはじめ、被相続人名義の預金の払戻し等、様々な相続手続に利用されることで、相続手続に係る相続人・手続の担当部署双方負担を軽減することを目的にしています。

本制度を利用する相続人に、相続登記のメリット放置することのデメリット登記官が説明することなどを通じ、相続登記の必要性について意識を向上を図るものです。

平成29年5月29日から運用開始されています。

■法定相続情報証明制度の手続の流れとは?

①申出(法定相続人又は代理人)

①-1 戸除籍謄本等を収集

①-2 法定相続情報一覧図の作成

①-3 申出書を記載し、上記①-1、 -2の書類を添付して申出

本制度は,被相続人名義の不動産がない場合(例えば、遺産が銀行預金のみの場合)でも利用することが可能となります。

申出をすることができるのは、被相続人の相続人(当該相続人の地位を相続により承継した者を含む。)になります。

代理人となることができるのは、法定代理人のほか、①民法上の親族、②資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に限る。)になります。

申出をすることができる登記所は,次の地を管轄する(注)登記所のいずれかになります。

被相続人の本籍地 ② 被相続人の最後の住所地 ③ 申出人の住所地 ④ 被相続人名義の不動産の所在地

申出は、郵送によることも可能です。

②確認・交付(登記所)

②-1 登記官による確認、法定相続情報一覧図の保管

②-2 認証文付き法定相続情報一覧図の写し交付

戸除籍謄本等の返却は、提出された戸除籍謄本等に記載の情報に限ります。

(従って、放棄や遺産分割協議は対象外となります。)

数次相続発生の場合は、一人の被相続人ごとに作成します。

③利用

偽造防止措置を施した専用紙交付

認証文付きの法定相続情報一覧図の写し各種の相続手続へ利用できます。(戸籍の束の代わりに各種手続において提出することが可能に)

この制度は,戸籍の束に代替し得るオプションを追加するものであり、これまでどおり戸籍の束で相続手続を行うことを妨げるものではありません。

なお、放棄や遺産分割協議の書類は別途必要となります。

■法定相続情報一覧図について

一覧図の写しは、相続手続に必要な範囲で、複数通発行が可能です。

法定相続情報一覧図の保管期間中(5年間)は、一覧図の写しを再交付することも可能です。

ただし、再交付を申出することができるのは、当初、一覧図の保管等申出をした申出人に限られます。(他の相続人が再交付を希望する場合は、当初の申出人からの委任が必要)

推定相続人の廃除があった場合に、法定相続情報一覧図には、原則、その廃除された者記載されません。

■その他について

被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を添付することができない場合は、本制度は利用できない

被相続人の死亡後に子の認知があった場合や、被相続人の死亡時に胎児であった者が生まれた場合、一覧図の写しが交付された後に廃除があった場合など、被相続人の死亡時点に遡って相続人の範囲が変わるようなときは、当初の申出人は、再度、法定相続情報一覧図の保管等申出をすることができます。

■用意する書類とは?

必ず⽤意する書類


書類名 取得先
被相続⼈(亡くなられた⽅)の⼾除籍謄本
出⽣から亡くなられるまでの連続した⼾籍謄本
及び除籍謄本を⽤意してください。
被相続⼈の本籍地の市区町村役場
被相続⼈(亡くなられた⽅)の住⺠票の除票
被相続⼈の住⺠票の除票を⽤意してください。
被相続⼈の最後の住所地の市区町村役場
相続⼈の⼾籍謄抄本
相続⼈全員の現在の⼾籍謄本⼜は
抄本を⽤意してください。
各相続⼈の本籍地の市区町村役場
申出⼈(相続⼈の代表となって,⼿続を
進める⽅)の⽒名・住所を確認することが
できる公的書類
具体的には,以下に例する書類のいずれか ⼀つ
運転免許証のコピー、マイナンバー カードの
表⾯のコピー
住⺠票記載事項証明書(住⺠票の写し)など

(注)被相続⼈の兄弟姉妹が法定相続⼈となるときなど、法定相続⼈の確認のために上記①の書類に加えて被相続⼈の親等に係る⼾除籍謄本の 添付が必要な場合があります。

必要となる場合がある書類


書類名 取得先
(法定相続情報⼀覧図に相続⼈の 住所を記載する
場合)
各相続⼈の住⺠票記載事項証明書 (住⺠票の写し)
法定相続情報⼀覧図に相続⼈の住所を 記載するか
どうかは,相続⼈の任意に よるものです。
各相続⼈の住所地の市区町村役場
(委任による代理⼈が申出の⼿続 をする場合)
⑥-1 委任状
⑥-2(親族が代理する場合)申出⼈と代理⼈が
親族関係にあることが分かる⼾籍謄本
(①⼜は③の書類で親族関係
が分かる場合は,必要ありません。)
⑥-3(資格者代理⼈が代理する場合)
資格者代理⼈団体所定の⾝分証明書の写し等
⑥-2について,市区町村役場
(②の書類を取得することができない場合)
被相続⼈の ⼾籍の附票
被相続⼈の住⺠票の除票が市区町村において
廃棄されているなどして 取得することができない
場合は、 被相続⼈の⼾籍の附票を⽤意してください。
被相続⼈の本籍地の市区町村役場

■よくある質問と回答とは?

◆手数料はかかりますか?

本制度は、無料でご利用いただけます。 ※戸籍謄本の取得には、所定の手数料が必要となります。 また,郵送による申出や一覧図の交付に当たっては、所定の郵送料が必要となります。

◆提出した戸籍謄本は返却されますか?

戸籍謄本等は,一覧図の写しを交付する際に併せて返却します。「必ず用意する書類/必要となる場合がある書類」に掲げる①,②(⑦)、③及び⑤は,登記官が内容を確認した後、一覧図の写しを交付する際に返却します。 なお,⑥は、原則返却しませんが原本と併せてコピー(原本と相違がない旨を記載し、代理人の記名・押印がされたもの)が提出された場合は、その原本を返却します。

◆一覧図に記載する被相続人との続柄については、必ず戸籍に記載される続柄を記載する必要はありますか?

申出人の選択により、続柄を「子」と記載することでも差し支えありません。ただし、 続柄を「子」と記載した場合は、相続税の申告等、これを利用することができない手続がありますので、ご留意ください。

◆申出の手続をとる時間がありません。誰かに頼むことはできますか?

申出の手続は、次の資格者代理人依頼することができます。 ・弁護士 ・司法書士 ・土地家屋調査士 ・税理士 ・社会保険労務士 ・弁理士 ・海事代理士 ・行政書士 ※本制度の委任による代理は、上記の専門家のほか,申出人の親族に限られます。

◆一覧図の写しが追加で必要となりました。再交付を受けることは可能ですか?

再交付をすることは可能です。 ※提出された法定相続情報一覧図は、登記所において5年間保管されます。この間は、一覧図の写しを再交付することが可能です。再交付の申出書は、法務局ホームページをご覧ください。

◆被相続人の出生から亡くなるまでの戸除籍謄本とは何ですか?

相続人を特定するためには、被相続人(亡くなられた方)の全ての戸除籍謄本を漏れなく確認する必要があります。戸籍は、被相続人が生まれてから結婚による分籍や転籍、戸籍のコンピュータ化による改製などにより、複数種類にわたる場合があります。 市区町村役場で戸籍謄本を請求する際は、相続手続に必要なため、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸除籍謄本が必要であることをお伝えください。

◆まとめ

1.「法定相続情報証明制度」が始まり、この制度を利用することで,各種相続手続を簡略化できるようになりました。

2.これまでは、相続手続において,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がありました。

登記所(法務局)戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ、登記官がその一覧図に認証文を付した写し無料で交付し、この戸籍情報を記載した証明書を金融機関などに提出することで、わざわざ新たに戸籍謄本を取得する必要がないことになりました。

3.申出をすることができるのは、被相続人の相続人になります。

代理人となることができるのは、法定代理人のほか、①民法上の親族、②資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に限る。)になります。

4.申出をすることができる登記所は,① 被相続人の本籍地 ② 被相続人の最後の住所地 ③ 申出人の住所地 ④ 被相続人名義の不動産の所在地を管轄するいずれかの登記所になります。

5.提出された法定相続情報一覧図は、登記所において5年間保管されます。この間は、一覧図の写しを再交付することが可能です。

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