◆「障がい者への贈与」は条件により6000万円まで非課税になる!
障がい者への贈与については、一定の要件に該当する場合は、最高で6,000万円まで非課税になる制度として「特定贈与信託制度」があります。以下この制度について、みていくことにしましょう。
■特定障害者に対する贈与税の非課税とは?
「特定贈与信託制度」とは、特定障害者(※)の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかからない制度です。
この非課税の適用を受けるためには、財産を信託する際に「障害者非課税信託申告書」を、信託会社を通じて所轄税務署長に提出しなければなりません。
※特定障害者とは、1特別障害者及び2障害者のうち精神に障害がある方をいいます。
■障害者とは?
障害者とは、次に掲げるような心身に障害のある人です。
〈イ〉精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(特別障害者となります。)
〈ロ〉精神保健指定医などにより知的障害者と判定された人(重度の知的障害者と判定された人は特別障害者となります。)
〈ハ〉精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級が1級と記載されている人は特別障害者となります。)
〈ニ〉身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている人(障害の程度が1級又は2級と記載されている人は特別障害者となります。)
〈ホ〉戦傷病者手帳の交付を受けている人(障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者となります。)
〈ヘ〉原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者となります。)
〈ト〉いつも就床していて、複雑な介護を受けなければならない人(特別障害者となります。)
〈チ〉精神又は身体に障害のある65歳以上の人で、その障害の程度が〈イ〉、〈ロ〉又は〈ニ〉に掲げる人に準ずるものとして市町村長、特別区の区長や福祉事務所長の認定を受けている人(〈イ〉、〈ロ〉又は〈ニ〉に掲げる人のうち特別障害者となる人に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人は特別障害者となります。)
■特定贈与信託とは?
委託者は個人に限られますが、受益者のご親族でなくてもご利用いただけます。また、何人かで共同して信託することもできます。
受益者は重度の心身障がい者(特別障害者)、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等(特別障害者以外の特定障害者)が対象となります。
通常、1年間に贈与を受けた額の合計額が110万円を超えると贈与税がかかりますが、この特定贈与信託を利用すると、特別障害者の方については6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税となります。
■ 特定贈与信託で注意することとは?
特定贈与信託は、受益者である特定障害者の方の死亡の日に終了することとされており、これ以外の信託期間を定めることはできないことになっています。
特定贈与信託は、定期的に金銭を交付する必要があることから、信託できる財産は、法令により、1.金銭、2.有価証券、3.不動産など、収益を生じる財産や換金性の高い財産に限られるます。
信託財産の運用により生じる収益は、受益者である特定障害者の方の所得となるため、所得の種類に応じて所得税が課税されることがあります。