【元気なうちにできること】その4 もめる「遺産分割協議」を防ぐ!

元気なうちにできること

◆その4 もめる「遺産分割協議」を防ぐ!

相続でもめるのは、相続人全員で「話し合うから」です。

ですから、元気なうちに「遺言」を作成しておけば、相続人全員で遺産分割の「話し合いをしなくてもいい」ので、もめることは無くなります!

また、「家族信託」を利用して、財産を「信託財産」にすることにより「遺産分割協議」を避けることもできます!

「生命保険」を利用すれば、死亡保険金は、「受取人の固有財産」となるため、「遺産分割協議」を避けることもできます!

しかし、「遺言」が遺産の分割に不十分な内容であった場合や、「遺言」が無かった場合などは、「遺産分割協議」をしなければなりません。

ここでは、もめる遺産分割協議を防ぐ!には、どのようなことをしていけばいいのか次にみていくことにしましょう。

1.遺産分割協議についての基礎知識とは?

遺産分割協議とは?

「遺産分割協議」とは、相続が起こった時に遺産をどのように分けるか相続人全員「話し合って決める」ことをいいます。「遺言」で具体的な遺産分割の指定がされていない場合は、「遺産分割協議」必要となります。

といいますのも、民法は「遺言」が無い場合の法定相続人とその相続割合について定めておりますが、これはあくまで分数的な目安に過ぎず、誰が何をどのように相続するかは、「遺産分割協議」で決めて、「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・実印押捺することが必要になります。

ここで重要なのは、「遺産分割協議は相続人全員の合意が得られなければ成立しない」ということです。

遺産分割する際の基準について、民法906条には、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身も状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と規定されています。

この条文は、遺産分割を実行する際の分割の指針を定めたもので、共同相続人間に遺産分割が算術的に公平に行われるだけでなく、具体的に公平に行われ、かつ遺産の社会的・経済的価値ができるだけ損なわれないように行われることを企図しています。

しかし、結局のところ、遺産分割協議が成立するかどうかは、各相続人がいかに「妥協」して「合意」に達することができるかにかかっていることになります。

遺産分割協議については、コラム13.「遺産分割協議」ってどんなことをするの?も参照して下さい。

なぜ遺産分割協議書が必要なの?

後々の紛争を予防するため!

相続人全員で遺産分割協議をするとき、協議がまとまるためには全員の合意が必要です。同意が得られないとトラブルになったりします。

相続人全員が合意すれば「遺産分割協議書」を作成します。この協議書があれば、後から「合意していなかった」等の言動を封じ込めることができ、トラブルを防止することができます。

遺産分割の内容を明確にするため!

「遺産分割協議書」があれば、第三者に対しても遺産分割協議があったことを証明することができます。

例えば貴金属を売却する場合、「遺産分割協議書」があれば、その貴金属の正当な所有者であると説明することができます。

遺産分割協議の内容を保存するため!

相続が起きると、遺産がどのように分割されたかを人の記憶だけでは正確に記憶することは難しく、時間の経過によって記憶があやふやになることもあります。

このような場合、「遺産分割協議書」があれば、遺産分割の内容を正確に保存することができます。

相続の手続きを進めるため!

「遺産分割協議書」は、具体的に相続手続きを進める場合に必要となってきます。

不動産の相続登記手続きをする場合、銀行預金を解約・払戻する手続きをする場合、自動車の名義を変更する手続きの場合など、「遺産分割協議書」が無ければ、相続手続きができないことになってしまいます。

何もしないとどうなるの?

いつまでも相続手続きができないことになる!

「遺産分割協議書」が無ければ、不動産の相続登記手続き、銀行預金を解約・払戻する手続き、自動車の名義を変更する手続き等がいつまでもできないことになってしまします。

悪用されるおそれがある!

「遺産分割協議書」が無ければ、自分が相続した不動産であっても相続登記ができていないので、誰かが悪用して勝手に売却するおそれがあります。

また第三者の抵当権が勝手に設定されてしまうおそれもあります。

相続トラブルが終わらない!

「遺産分割協議書」が無ければ、各相続人が勝手にいろいろなことを主張してくる可能性があり、相続トラブルが継続して終わらない状況が続くことになってしまいます。

権利関係が複雑になってしまう!

「遺産分割協議書」を作らず、長期間放置してしまうと、次の相続が発生してしまう可能性が高まり、不動産について子供の代と孫の代との共有関係が生じることも出てきます。

このように、長期間「遺産分割協議書」が無ければ、権利関係がますます複雑化し相続トラブルも増加してしまいます。

◆遺産分割の方法にはどんなものがあるの?

具体的に誰が何を相続するかを決めることを「遺産分割」といいますが、遺産分割には次の4つの方法があります。これらの方法を考慮して遺産分割をしていくことになります。

現物分割

自宅は妻に、預金は長男に、株式は次男になどと、個々の遺産をそのまま分配する方法です。遺産分割の原則的な方法で、現物分割といいます。

メリットとしては、分割がわかりやすいこと、遺産の現物が残せることがあります。

デメリットとしては、相続分どおりに分配することが難しいことがあげられます。

換価分割

遺産(不動産等)を売却して金銭に換え、それを分配する方法です。現物では、分割しにくい遺産を分配できますが、売却利益に対して所得税と住民税が課税されます。

メリットとしては、公平な遺産分割が可能であることがあげられます。

デメリットとしては、売却の手間と費用がかかること、遺産の現物が残らないこと、譲渡益に対して所得税と住民税がかかることがあげられます。

代償分割

一部の相続人が、相続分を超える遺産を取得する代わりに、他の相続人に対して相続分の差額を金銭(代償金)を支払う方法です。

メリットとしては、公平な遺産分割が可能であること、遺産の現物が残せることがあげられます。

デメリットとしては、代償金を支払う相続人に支払い能力が無いと不可能なことです。

共有分割

遺産の一部あるいは全部を複数の相続人が持分を決め、それを共有する方法です。

メリットとしては、公平な遺産分割が可能であること、遺産の現物が残せることがあげられます。

デメリットとしては、利用や処分の制限があること、共有者に次ぎの相続が起こると権利関係が複雑化することがあげられます。

遺産分割協議書が無ければできないことは?

不動産の相続登記手続きをする場合!

相続登記で遺産分割協議書が必要となる場合は、法定相続分と異なる割合で不動産を相続する場合です。

法定相続分と異なる割合で登記される場合は、その内容が記載された遺産分割協議書が無ければ相続登記ができません。

銀行預金等を解約・払戻する手続きをする場合!

預貯金債権は遺産分割協議の対象となる旨の最高裁判決(平成28年12月)によって、遺産分割協議書が無ければ解約や払い戻しができないことになっています。

しかし民法改正によって、現在では、預貯金債権の1/3の部分のうち各人の法定相続分は各相続人が単独で解約、払戻しができるようになっています。

残りの預貯金債権の解約、払戻し手続きについては、遺産分割協議書が無ければ手続きができないことになっています。

自動車の名義を変更する手続き!

自動車の名義を変更する場合にも、遺産分割協議書が必要となります。陸運局で自動車の名義を変更すには、遺産分割協議書が無ければできません。

株式の名義を変更する手続き!

株式の名義変更手続きにも、遺産分割協議書が必要となります。

上場株式の場合は、証券代行業務を行っている証券会社へ遺産分割協議書を提示して名義変更してもらうことになります。

また非上場の株式の場合は、株式を発行している会社に連絡して遺産分割協議書を提示し名義変更の手続きをしてもらうことになります。

相続税の申告手続き!

相続税申告の時、各人の相続分に基づいて申告する場合は遺産分割協議書が必要となります。

遺産分割協議書が無ければ、各人の法定相続分に応じた申告しかできないことになってしまします。

配偶者の相続税の控除や小規模宅地の特例などを受ける場合も、納付期限までに遺産分割が終了していなければ特例を受けることができないので、遺産分割協議書が必要になります。

相続税を払いすぎた場合、相続税の更生請求することになりますが、この場合も遺産分割協議書により相続分を明確にして請求することが必要になります。

遺産分割協議の対象となる相続財産とは?

相続財産であり、遺産分割協議の対象になる財産の範囲とは?

■不動産 ■預貯金債権(2/3の部分) ■現金 ■不動産賃借権 ■株式 ■社債 ■国債 

■知的財産権(著作権、特許権等) ■満期金保険金請求権 ■動産 ■営業権などがあります。

相続財産ではあるが、遺産分割協議の対象とならない財産の範囲とは?

次の財産は、遺産分割協議の対象とはならずに法定相続分となります。

■損害賠償請求権 ■金銭債務 ■保証債務などがあります。

相続財産とならない財産とは?

■生命保険金 ■国家公務員の退職金 ■遺族給付金 ■遺産から生じた果実・収益 ■葬儀費用、香典、祭祀財産などがあります。

相続財産となるか、ならないかが被相続人の属した団体の規定等による場合とは?

■死亡退職金などがあります。団体の規定により扱いが変わります。

遺産分割協議のやり直しはできるの?

遺産分割協議のやり直しには、以下のようにやり直しができる場合もありますが、いろいろな問題もあるため、遺産分割協議を行う場合はなるべく一回で成立するようにすることが重要です。

原則として一度成立した遺産分割協議をやり直すことはできません

遺産分割をもう一度やり直したいと思う相続人がいたとしても、一度成立した遺産分割協議は、原則としてやり直すことはできません。

なぜなら、相続人全員で話し合った結果、遺産分割協議書にまとめたことで、遺産分割協議は終了しているからです。後々の紛争を予防するためにも一度成立した遺産分割協議は原則としてやり直しはできません。

遺産分割協議がそもそも「無効」な場合はやり直しができます!

しかし、相続人の一部が欠けたり、権限のない相続人以外の者が参加した遺産分割協議は「無効」です。「無効」なので初めから効力は無いことになります。

遺産分割の時点で既に相続人で無くなった場合、遺産分割の後で相続の資格を失った場合、詐欺や脅迫によって遺産分割が行われた場合などは、遺産分割協議自体が最初から成立していなかったものとして、やり直しすることになります。

遺産分割協議は有効だが「相続人全員が合意」すればやり直しができます!

遺産分割協議が成立した後、予期せぬ出来事で遺産分割をやり直したいという状況になった場合は、「相続人全員の合意」があれば、遺産分割協議をやり直すことができます。

遺産分割協議を相続人全員で合意解除したうえで、遺産分割協議をやり直すことになります。

「遺言」があった場合であっても、「相続人全員の合意」があればその合意のとおりに遺産分割ができます。

家庭裁判所による調停・審判による遺産分割はやり直しができません!

しかし、当初遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所の「調停」「審判」で遺産分割がされた場合は違います。

家庭裁判所による「調停」「審判」によって遺産分割が成立しているので、たとえ相続人全員の合意があったとしてもやり直しはできません

遺産分割のやり直しで税務上課税されることがあります!

遺産分割協議のやり直しをすることによる相続財産の再分割がなされることで、相続人間の財産の譲渡や贈与として取り扱われ課税される場合も出てくる恐れがあります。この点については、よく注意することが必要となります。

2.遺産分割協議書を作るにはどうしたらいいの?

遺産分割協議の手順はどうなるの?

遺産分割協議書作成までの手順は以下のとおりです。

相続人全員を確定する!

遺産分割協議は、相続人全員が協議に参加し、合意することが必要なため、相続人一人でも欠けると遺産分割協議が「無効」になってしまいます。

したがって、相続人全員を「調査すること」「確定すること」が重要になってきます。

相続人調査をするときは、亡くなった人の生れてから亡くなるまでの、すべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本を取り寄せます。本籍地のあるそれぞれの市町村役場に申請して取り寄せることになります。

この調査は、漏れや抜けが無いように戸籍を連続して取らなければならないので、かなり大変な作業になることが多いと思われますので、行政書士、司法書士などに依頼して取得してもらうこともできます。

相続財産調査する!

次に相続財産を調査します。亡くなった方の預金通帳、貯金通帳、現金等を調べます。郵便物を見て金融機関や証券会社からの通知などにも留意します。

不動産については、固定資産税納付書に記載のあるものや権利書などから調査して、登記所で登記事項全部証明書(登記簿謄本)を取得します。

また借入があるかどうかや保証人になっていないか等も契約書が無いか調査します。借入があるかどうかについては、個人信用情報機関(CIC,JICC,全銀協など)に問い合わせることもできます。

相続財産の調査を行ったら、相続財産の範囲と評価額を出して、相続財産目録を作成しておきます。

相続財産目録の作成も大変な作業となるため、行政書士、司法書士などに依頼して作成してもらうこともできます。

遺産分割協議の案(タタキ台)を作成する!

相続人全員の立場や状況等を考慮して、遺産分割協議の案(タタキ台)を作成しておきましょう。

事前に相続財産目録と一緒に提示しておいて、遺産分割協議の際に、タタキ台として協議を進める方がスムーズに行く場合があります。基本は、不動産の共有は避けること、平等より公平を目指すことです。

相続人全員で協議して内容を決定する!

相続人全員で集まり、話し合って具体的に遺産をどのように分けていくのか決めていきます。しかし遠方にいたりして集まれない場合は、電話やメールなどで話し合うことでもかまいません。

相続人全員が納得することが重要です。

できるだけ協議は一回で終わらせることを目指します。持ち帰ると外野の意見が出てきたりしてまとまらなくなることが多いため、持ち帰ることが無いようにその場で決着をつけることに留意します。

話し合うときは、相続の正確な知識を持って、冷静に、無理な主張はせず、相続人それぞれの立場状況などを考慮して進めていくことになります。

遺産分割協議書に相続人全員が署名し実印を押印する!

遺産分割協議によって相続人全員の合意が得られたら、その内容を書面にして遺産分割協議書を作成し、全員が署名し、実印を押捺いたします。

相続法改正による遺産分割等においての見直しとは?

相続法の改正により、遺産分割等において下記のような見直しがありました。

配偶者保護のための方策-特別受益における持戻し免除の意思表示推定

見直しの理由:

当該贈与等の趣旨(生存配偶者の貢献に報い、その生活保障を図る。)を尊重した遺産分割が可能となります。配偶者の生活保障にも資することになります。

ポイント:

婚姻期間20年以上の夫婦の一方配偶者が、他方配偶者に対して居住用不動産遺贈・贈与した場合、民法903条3項の持戻しの免除意思表示があったものと推定することになりました。

※遺産分割において、原則、当該居住用不動産の持戻し計算は不要となります。

預貯金債権の遺産分割における取り扱い-遺産分割前の仮払い制度の創設

ポイント:

預貯金が遺産分割の対象となる場合、各相続人は遺産分割前でも単独で、各金融機関の預貯金の1/3法定相続分をかけた金額(上限150万円)までは、各相続人引き出すことができるようなりました。これで葬儀費用や税金の支払いなどに利用することが可能になりました。

遺産分割前における遺産を処分した場合の遺産の範囲について

ポイント:

a) 遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人全員の同意により、当該処分された財産を遺産分割の対象に含めることができることになりました。

b) 共同相続人の一人又は数人が遺産分割前に遺産に属する財産の処分をした場合には、当該処分をした共同相続人については、a) の同意を得る必要はありません。

遺産分割の一部分割について

ポイント:

これまで原則的に否定されていた遺産分割の一部分割について、原則的に認めることになりました。

遺産分割協議書の作成方法は?

手書き、パソコン作成、どちらでもOKです!

遺産分割協議書は、手書きでも、パソコンで入力してプリントしても、どちらでも構いません。

内容が大部になるので、パソコンで入力する方が多いと思います。また、用紙の指定もありません。作成が大変な場合は、行政書士、司法書士などに依頼して作成してもらうこともできます。

署名と実印押捺、契印・割印が必要です!

遺産分割協議書には、相続人全員の署名(自筆で名前を書くこと)と実印の押捺が必要となります。これは相続人全員の合意があったことを証明するためです。印鑑証明書も各人用意して添付します。

また、遺産分割協議書が複数葉になった場合は、ページとページにまたがる箇所に「契印」を押捺します。

遺産分割協議書は、人数分作成しますので、すべてが同じ内容であることを証明するため、「割印」を押捺します。具体的には、遺産分割協議書を少しずらしておいて、そこにかかるように相続人全員の印鑑を押捺します。

「契印」「割印」とも、実印で押捺します。

タイトルと本文の書き方は?

タイトルは、「遺産分割協議書」と記載します。横書きでも縦書きでも構いません。

次に被相続人(亡くなった方)の氏名、最後の本籍地、最後の住所地、登記簿上の住所、生年月日、死亡日を記載します。

相続人の表記も必要です。相続人の住所は印鑑証明書のとおりに記載します。

そして、誰が何を相続するのかを明確に特定するようにします。

不動産の場合は、登記事項全部証明書(登記簿謄本)の表題部のとおりに記載します。

銀行預金については、銀行名、支店名、口座番号等を明確にしておくことが必要です。

また、現物分割、代償分割、換価分割などの分割方法や、相続人間で取り決めた条項を明確に記載します。

また、忘れがちな相続財産についても決めておくことが必要です。

「本遺産分割協議書に記載されていない遺産が発見された場合は誰々がすべて相続する」という条文を記載することも必要です。

この条項が無ければ、遺産分割協議書に記載されていない遺産が発見された場合は、その部分だけ遺産分割協議をしなければならないことになってしまいます。

作成方法が分かりにくい場合は、行政書士、司法書士などに依頼して作成してもらうこともできます。

相続財産目録をつける!

遺産分割協議書には、協議の前に作成した「相続財産目録」を添付するようにします。

多数の不動産や多額な遺産がある場合は相続財産目録があると分かりやすくなります。

作成する場合は、不動産、現金、預貯金、株式、貴金属など遺産の種類ごとにまとめて記載するようにします。

遺産分割協議書の作成部数などは?

遺産分割協議書は、原則として相続人全員が同じものを所有する部数が必要です。

また遺産分割協議書の署名・押印手続きは、相続人全員が一堂に会する必要はなく、持ち回りで署名・押印しても構いません。

換金化する不動産だけ分けて遺産分割協議書を作成することもできます。また、不動産ごと、他の遺産ごとに遺産分割協議書を作成しても構いません。

遺産分割協議書は何通あっても構いません。誰が何を相続してのかを明確しておくことが重要なのです。

遺産分割協議の前に「特別な手続き」が必要となる場合とは?

次のような場合には、遺産分割協議ができないので、それぞれの場合における「特別な手続き」を経たうえで、遺産分割協議を実施することになります。

これらの手続きには、時間と手間、費用がかかってきますので注意が必要です!

未成年の子供とその親が同時に相続人になる場合!

両者は遺産分割において利害が対立することになります。この場合は、必ずその未成年の子供の「特別代理人」を選任することになります。

「特別代理人」の候補者を推薦して、家庭裁判所に選任の申立てを行い、家庭裁判所が「特別代理人」の選任審判を行います。そして、この「特別代理人」が未成年者の権利を代理して遺産分割協議に参加することになります。

認知症の相続人がいる場合!

遺産分割協議の前に、「成年後見人」選任の申立てをする等して、認知症の人の代理人となる「後見人等」を選定します。

選任された「後見人等」が認知症の相続人を代理して遺産分割協議に参加することになります。

「後見人等」を選任しないで行った遺産分割協議は、「無効」になることがありますので、注意が必要です。

行方不明の相続人がいる場合!

相続人の中に行方不明の人がいる場合は、家庭裁判所へ「不在者の財産管理人」の選任を申立て、

「財産管理人」を選任します。

この「財産管理人」が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加して遺産を分割します。さらに、遺産分割協議の内容につき、家庭裁判所へ「権限外行為許可の申立」を行い、この許可を得てはじめて遺産分割協議が有効となります。

不在者の生死も不明で、7年以上の期間が経過している場合は、家庭裁判所へ「失踪宣告」を申し立てる方法があります。

この場合、家庭裁判所の「失踪宣告」の審判により、失踪期間7年経過後において、「死亡したもの」とみなされますので、「相続人から除外される」ことになります。

「失踪宣告」により、相続人の順位に変動が生じたり、代襲相続が発生したりする場合がありますので注意が必要です。

遺産分割協議書に「特別な配慮」が必要な場合は?

以下のような場合には、遺産分割協議書の作成にあたって、それぞれ「特別な配慮」をすることが必要になってきますので、注意しましょう。

相続人が海外にいる場合!

相続人が海外にいる場合は、話し合いは電話やインターネットを利用したコミュニケーション方法ですることになりますが、住所を海外に移し、住民票が国内に無い場合は、印鑑登録していないため印鑑登録証明書が取得できないことになります。

すると遺産分割協議書に必要な印鑑登録証明書を添付することができなくなってしまいます。

そこで、このような場合は、外国の在外公館(外国にある日本大使館、総領事館)「サイン証明」を取得することになります。

正式には「署名証明」といいますが、海外にいる方は、遺産分割協議書の必要となる箇所にサインをして、この「サイン証明」を取得し添付することで、有効な遺産分割協議書を作成することができます。

時間がかかりますので相続税の納税がある場合等は注意が必要です。

相続分の譲渡があった場合!

「相続分の譲渡」とは、各共同相続人が遺産全体の上に持っている相続持分または相続人の地位を譲渡することをいいます。

共同相続人に譲渡した場合は、相続分を譲受した相続人の相続分が多くなるだけで、特に問題にはなりません。

しかし、第三者に相続分が譲渡された場合は、その譲受人が遺産分割協議に参加することになります。

その譲受人の署名・実印押捺と印鑑登録証明書の添付が無ければ、有効な遺産分割協議書とはなりません。

また「相続分の譲渡」は、遺産分割の前にしなければなりません。既に遺産分割協議が成立した後では、もはや「相続分の譲渡」できません

「相続分の譲渡」があった場合は、その内容を正確に把握して遺産分割協議をすることが必要になってきます。

相続放棄があった場合!

「相続放棄」とは、相続人が自己がために相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所「相続放棄」の手続きをすることにより、「最初から相続人でなかった」ものとみなされることをいいます。

その結果、預貯金や不動産などのプラスの財産のみならず、借金などのマイナスの財産も承継しないことになります。

「遺産放棄」をした相続人は「最初から相続人でなかった」ものとみなされるので、遺産分割協議に参加し、署名押印する必要がありませんし、することもできません。

また、「相続放棄」すると、相続の順位が変更することがありますので、関係者にきちんと通知しておくことが重要です。

これと似たものに「相続分の放棄」というものがあります。

「相続分の放棄」は、相続人の地位はそのままで、自分の相続分だけを放棄することをいいます。

「相続分の放棄」をする相続人は、遺産分割協議に参加して、遺産分割協議書において遺産相続しないことを明確にしなければなりません。

「相続放棄」「相続分の放棄」は、遺産分割協議書との関係で全く違う取り扱いになりますので、注意が必要です。

詳しくは、【相続ワンポイント コラム「16.「相続放棄」と「相続分の放棄」とは違いがあるの?」】を参照下さい。

3.遺産分割協議でもめるとどうなるの?

遺産分割協議でもめやすいケースとは?

遺産分割協議は、もめずにうまくまとまることがある反面、もめることもあります。特にもめやすい遺産分割協議は、次のような場合です。

親が亡くなり「子供だけが相続人」の場合!

2次相続で、残された親がなくなり、相続人が子供だけになった場合は、兄弟姉妹同士で話し合うことになります。親という重石が無くなり止めてくれる人がいないので、勝手に主張してくることが多くなります。過去の不公平だったことを持ち出したり、介護をした人としない人との温度差などにより、話しがまとまらなくなることが多くなっています。

相続財産が「実家不動産だけ」の場合!

相続財産が預貯金だけなら、きちんと分けることができるので、遺産分割協議がもめることはあまりありません。

しかし、不動産だけの場合は分けることができないので、もめることが多くなってきます。売却してその売却代金を分けることもできますが、時間と手間がかかり、売り急ぐと価格が下げないとならず、譲渡所得税などの税金がかかる場合もあります。

その不動産が実家で相続人の誰かがそこに住んでいる場合は、売りたくても売れないことになってしまいます。自宅を相続する代わりに代償金を支払うことができればいいのですが、現金が無いことが多く、もめることになってしまします。

このような場合、生命保険金を利用して代償金を用意する方法もありますが、詳細はコラム【「元気なうちにできること」その5「生命保険を利用する!」】を参照して下さい。

相続人に「半血兄弟姉妹がいる」場合!

被相続人の前婚の時の子供がいる場合や認知した子供がいる場合等、両親の一方だけの子供である半血兄弟姉妹と両親が一緒の全血兄弟姉妹とがいたとしても、それぞれの兄弟姉妹の法定相続分は同じです。(ただし、相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合、半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の1/2となります。)

しかし、会ったこともない兄弟姉妹であったり、なかには恨みを持っている兄弟姉妹もいたりして、コミュニケーションを取ることも難しい場合もあります。

相続人の一人でも遺産分割協議に参加しないと言い出したりすれば、遺産分割ができ無いことになってしまうのでよく話し合うことが重要になってきます。

「寄与分」を主張する相続人がいる場合!

「寄与分」とは、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した相続人がある場合は、その人に対して、寄与に応じた法定又は指定相続分を超える額の財産を取得させる制度のことを言います。

「寄与分」があれば、その額を相続財産から控除し、残額を遺産分割協議の対象とします。そして各相続人の相続分を決めてから、「寄与分」を有する相続人には「寄与分」加えることになります。

遺産分割協議で、親の介護をした相続人から「寄与分」を主張することが多く、「寄与分」がスムーズに決まることは決して多くはありません。

また、「寄与分」の権利者は相続人に限られており、相続人以外の者「寄与分」を主張できないことになっていました。

民法改正で、「特別寄与者」が設けられ、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族が、相続人に対して特別寄与料の支払請求ができることになりました。

遺産分割協議書を作成する場合は、このことも考慮する必要が出てきましたので注意しましょう。

「特別受益」を受けた相続人がいる場合!

「特別受益」とは、生前に被相続人から財産をもらっていた等、被相続人から特別に利益受けることをいいます。

このように「特別受益」を受けた相続人がいる場合には、遺産分割の際、トラブルになりすいことになります。

そこで公平を図るため、その相続人の特別受益分を相続開始時の財産に加えたものを相続財産とみなして計算した相続分の額から、その者の特別受益分を控除して、その残額をその者の相続分とする「特別受益の持ち戻し」という制度があります。

被相続人がこの「特別受益の持ち戻し」望んでいない意思表示をした場合、「持ち戻しの免除」が認められます。

遺産分割協議書を作成する際は、「特別受益」についての注意が必要です。

遺産分割協議でもめたらどうなるの?

遺産分割協議で何度も話し合っても遺産分割の方法が合意できないときや、遺産分割協議の場に出席を拒む相続人がいて協議ができないときは、家庭裁判所で次のような手続きをとりことになります。

家庭裁判所の「調停」による遺産分割を行う!

調停は、相続人の一人または数人が、他の相続人を相手として申し立てて、審判官一人と民間から選ばれた2人以上の調停委員の立ち合いのもと、当事者の主張を聞きながら、審判官と調停委員が妥協点を探りながら「調停案」を作成します。

この「調停案」に相続人全員が合意すれば、「調停」は成立します。

成立すれば確定判決と同様の強制力が付与される「調停調書」を作成することになります。

しかし、相続人全員の合意が得られなければ、「調停」不成立になります。

家庭裁判所の「審判」による遺産分割を行う!

調停でも遺産分割がまとまらない場合は、「審判」による遺産分割を行います。

これは、審判官が、財産の種類や性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活状況その他の一切の事情を考慮したうえで分割方法を決め、「審判」することになります。

ただし、審判手続きには重大な制限があります。それは、審判手続きは、民法に定める「法定相続分」に従わなければならないということです。

この点は審判手続きを進めるうえで注意が必要となります。

遺産分割協議がまとまらない場合のデメリットとは?

特に相続税を課税される方は、以下のような税法上の軽減措置の特例を受けるためには、遺産分割協議書がなければなりません。

遺産分割協議がまとまらない場合は、税額が軽減されないデメリットがあります。

申告期限までに遺産分割が完了していないと、相続税の配偶者の「税額軽減措置」が受けれない!

配偶者であれば、1億6000万円もしくは法定相続分のどちらか高い方まで相続税が無税になる特例があります。

しかし、申告期限(原則として被相続人の死後10か月以内)までに遺産分割が完了していないとこの特例が使えなくなってしまいます。

申告期限までに遺産分割が完了していないと、「小規模宅地等の特例」が受けれない!

小規模宅地等の特例とは、簡単に言うと、被相続人が住んでいた土地について、相続税評価額を80%減額し評価額を通常の評価額の20%として、相続税の計算をするという特例のことです。

土地評価が8割引きになるのですから大きな特例です。この特例を受けるにはいろいろな条件があるのですが、その条件の一つに、申告期限までに遺産分割を完了していて、遺産分割協議書を申告書に添付できななければなりません。

申告期限までに遺産分割が完了していないと、小規模宅地等の特例が受けれないことになりますので、注意が必要です。

4.もめる遺産分割協議を防ぐためにはどうするの?

もう一度「遺言」を探すこと!

「遺言」が無いかもう一度亡くなった人の家を探します。

銀行の貸金庫を借りているかどうかも調べてみます。また、公正証書遺言をしている場合もありますので、公証役場で検索してみることもお勧めします。

なぜなら、「遺言」があれば、相続人全員で話し合って遺産分割協議書を作成する必要がないからです。

また、「遺言」を見つけたら、自分に都合が悪いからといって、隠したり、破棄したりしないようにしましょう。相続権を失うことになってしまいます。

「相続税」が課税されるかざっくり計算してみること!

相続財産を調査して相続財産財産目録を作成することになるので。その時「相続税」が課税されるかざっくり計算してみましょう。

相続税の基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人数)で計算されます。法定相続人が、母親と子供2名の場合は、3000万円+(600万円×3名)=4800万円となります。

ざっくりですが、相続財産が4800万円以下であれば「相続税」は課税されないことになります。

「相続税」を納付する人は全体の約8%といわれており、ほとんどの人は「相続税」とは関係ありません。かからない「相続税」で悩まないようにざっくり計算してみましょう。

「相続」について「正しい知識」を持って話し合いに臨むこと!

「相続」について、これはおかしいと考えている相続人がいても、民法や税法等で規定されていることは変えることはできません。

自分の勝手な思い込み感情的になることを避けるためにも、「正しい知識」を持って、遺産分割協議に臨みましょう。

「感謝の気持ちと譲る心の大切さ」を自覚して話し合いに臨むこと!

人から無償財産をもらうと誰でも「感謝する」気持ちを持つと思います。しかし、相続になると「もらって当たり前」という気持ちになり、自分の分は少ないと言い出したりすることがあります。

これを冷静に考えてみれば、「生前」「死後」違いだけです。亡くなった人が、家族のために残してくれた大切な財産を家族みんなで分けるのが、「遺産分割協議」なのです。

財産を分けてもらったことに「感謝」し、自分だけの主張をするのではなく、「譲る」ことも必要なのではないでしょうか。

これに関して、詩人の「相田みつを」氏の詩「分け合えば」があります。「分け合えば」は次のとおりです。よくこの詩を味わってみましょう。

うばい合えば足りぬ 分け合えばあまる

うばい合えばあらそい 分け合えばやすらぎ

うばい合えばにくしみ 分け合えば喜び

うばい合えば不満 分け合えば感謝

うばい合えば戦争 分け合えば平和

うばい合えば地獄 分け合えば極楽

うばい合うと 足らないけれど

分け合うと あまっちゃうんだなぁ

是非、遺産分割協議に臨むときは、故人の気持ちを考えて「感謝の気持ちと譲る心の大切さ」を自覚して話し合いに臨んでいただきたいと思います。

「相続放棄」する場合は必ず関係者に事前に連絡すること!

家庭裁判所へ申し出て「相続放棄」をする場合は、必ず関係者に「事前に連絡する」ようにしましょう。

亡くなった人に多額な借金があった場合や多額な債務を保証していた場合などは、相続人は自己に相続があったことを知った時から3か月以内に手続きをすれば「相続放棄」をすることができます。

「相続放棄」をすれば、その相続人は初めから相続人ではなかったことになり、他に相続人がいればその人が相続人になります。

ここで注意しておきたいのは、相続人全員が「相続放棄」しても借金や保証債務が消えるわけではありません。

相続順位が後順位の他の親族が新たに相続人になって、その人が借金や保証債務を引き継ぐことになります。

後順位の親族が新たな相続人になったとしても、事前にそのことを知っていた場合は、その人も「相続放棄」の準備をすることができます。

これが、事前に何の連絡もしないでいると、その何も知らない新たな相続人に対して、債権者から突然、多額な借金返済請求の内容証明郵便が届くことになったりします。

最近問題になっている「突然相続」というものです。新たな相続人がパニックになってしまって、3か月以内にその人が「相続放棄」の手続きができなかったら、多額の借金を背負い込むことになってしまします。

ですから、「相続放棄」する場合は、必ず関係者に「事前に連絡する」ことが必要です!

突然相続については、【相続ワンポイントコラム「2.突然相続って何なの?」】を参照して下さい。

相続人に認知症の人がいる場合は「成年後見人選任」か「次の相続まで待つ」こと!

相続人に認知症の人がいる場合は、「成年後見人」の申立手続きをすることになります。しかし、成年後見人の選任手続きは大変手間がかかるほか、成年後見人の報酬(月額2~6万円)が認知症の方が亡くなるまで発生することになります。

場合によっては、今「遺産分割協議」をしないで、「次の相続まで」遺産分割協議を待つという方法もあります。どうするかは、相続人で話し合った決めることになります。

相続人全員が出席できる「日程」と「場所」を調整すること!

遺産分割協議を行う場合、相続人全員が出席できる「日程」「場所」を調整します。どうしても相続人全員が集まれない場合は、電話などで連絡を取り合って進めることもできます。

「場所」は、自宅を避けて、うなぎ屋やファミリーレストランなど多少人目がある場所の方がいいといわれています。

まわりの視線を味方につけることで、大声を出すことも少なくなり、順調に話し合える雰囲気作りができるのでお勧めです。

事前に「相続財産目録」と各相続人の事情を考慮した「タタキ台」を作成して伝えておくこと!

遺産分割協議書の「相続財産目録」「タタキ台」を事前に作成しておくと、話し合いがスムーズに進むことが多くなっています。

あくまで暫定的な「案」として作ってきたことを話して、提示します。「タタキ台」に不満な点があれば、その場で出してもらい話し合うことになります。

「タタキ台」が無ければ、何も具体的なが出ないことが多く、話し合いがなかなかまとまらないことになってしまいます。

家族全員の「ガス抜き」をすること!

遺産分割協議には、相続人全員が集まりますが、久しぶりの人がいたり、緊張している人もいるので、「場」の雰囲気作りは大切になります。

特に兄弟姉妹の場合、「過去」しがらみを持っていることが少ないありません。兄はこんな贈与をしてもらった、弟は大学まで行かせてもらえた、姉は結婚式の資金を出してもらったなどいろいろな想いがあります。

そこで、それまで貯めてきた不満の「ガス抜き」が必要になってきます。

遺産分割協議で大切なことは、「過去」を許して臨むことです。全員に「過去」を許させることが、話し合いをスムーズに進めることにつながります。

「相続人同士は仲間であり、敵ではないこと」を自覚して遺産分割協議に臨むことをお勧めします。

相続人でない家族等は「同席させない」こと!

遺産分割協議の場には、相続人以外の人は「同席させない」ことが重要です。相続人以外の人は、家族であっても、相続人では無いので相続についてあれこれ言う権利がありません。

相続人以外の外野が勝手なことを主張し始めると、遺産分割協議がまとまらなくなってしまします。

相続人以外の人は「同席させない」ことに注意しましょう。

協議の「議事進行役」を決めておき、その人を中心に協議を進めていくこと!

遺産分割協議の際、協議の「議事進行役」を決めておき、その人を中心に話し合いを進めていくことがスムーズな協議を行う方法となります。

この進行役の人がリーダーシップを取って議事を進めていくので、進行役の人の選ぶことが重要になります。遺産分割協議の全体を考えて円満な相続を目指すことができる人を選ぶことになります。

不動産の共有は避けること!

分けることが難しい不動産などは、分割が難しいと言って安易に「共有」にすることは避けましょう。

不動産の「共有」問題を先送りすることになってしまい、今後「共有者」に相続が起こった場合、その配偶者や子供がその相続人になり、権利関係がますます複雑化して収集がつまない状況になってしまいます。

忘れがちな財産も協議で決めておくこと!

貴金属、絵画、骨とう品、未収の年金など、忘れがちな財産も協議で決めておくようにします。

遺産分割協議書に記載の無い財産が出てきた場合は、その財産について新たに遺産分割協議をしなければならくなります。

こうようなことを避けるため、「本遺産分割協議書に記載されていない遺産が発見された場合は誰々がすべて相続する」という条文を記載することも必要です。

遺産分割協議は「1回」で終わらせること!

遺産分割協議は、「1回」で終わらせるようにします。

「持ち帰って検討する」ことになったりしたら、必ず相続人以外の「外野の人たち」が意見を主張してくることになります。

相続人同士ではまとまりかけた遺産分割協議書は、「外野の人たち」が入ってくることで、かえって紛争することが多くなっていますので、注意が必要です。

5.「遺産分割のゴール」とは?

「遺産分割協議」をした場合でも、「遺言」を作成した場合でも、「遺産分割のゴール」は、次のとおりです。

残された家族が、この先も円満でいられるように終わらせること!

残された家族が、より一層「絆」を強める「機会」にすること!

この「ゴール」を目指すことを自覚して、「遺産分割協議」に臨むことが大切です。

6.まとめ

1.相続でもめるのは、相続人全員で「話し合うから」です。

2.元気なうちに「遺言」を作成しておけば、相続人全員で遺産分割の「話し合いをしなくてもいい」ので、もめることは無くなります!

3.「遺言」が無かった場合などは、「遺産分割協議」をしなければなりません。

4.「もめる遺産分割協議を防ぐ」ためには以下のことに留意します。

もう一度「遺言」を探すこと!

「相続税」が課税されるかざっくり計算してみること!

「相続」について「正しい知識」を持って話し合いに臨むこと!

感謝の気持ちと譲る心の大切さ」を自覚して話し合いに臨むこと!

「相続放棄」する場合は必ず関係者に事前に連絡すること!

相続人に認知症の人がいる場合は「成年後見人選任」か「次の相続まで待つ」こと!

相続人全員が出席できる「日程」と「場所」を調整すること!

事前に「相続財産目録」と各相続人の事情を考慮した「タタキ台」を作成して伝えておくこと!

家族全員の「ガス抜き」をすること!

相続人でない家族等は「同席させない」こと!

協議の「議事進行役」を決めておき、その人を中心に協議を進めていくこと!

不動産の共有は避けること!

忘れがちな財産も協議で決めておくこと!

遺産分割協議は「1回」で終わらせること!

5.「遺産分割のゴール」とは次のとおりです

残された家族が、この先も円満でいられるように終わらせること!

残された家族が、より一層「絆」を強める「機会」にすること!

この「ゴール」を目指すことを自覚して、「遺産分割協議」に臨むことが大切です!

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