(2)「相続人」って誰なの?

知っておきたい法律の知識

◆「相続人」は誰がなるの?

相続があった時に、誰が相続人になるかは民法で決められています。

この民法で定める相続人のことを、「法定相続人」といいます。

法定相続人は、配偶者相続人血族相続人に分けられます。

配偶者相続人は、被相続人(亡くなった人)の妻または夫にあたる人で、婚姻関係に無い内縁の妻や愛人には相続権がありません。

血族相続人は、被相続人の子(実子)、養子、婚姻関係に無い子(非嫡出子)、胎児、孫、ひ孫などの直系卑属、父母または祖父母など直径尊属、兄弟姉妹です。

配偶者は常に相続人ですが、子などの血族相続人には相続人になる順位が決められています。

◆第1順位:子(直系卑属)

被相続人に子がいれば第1順位で相続人となります。また、養子であっても実施と同じく「子」として相続人になります。

また、子が死亡していた場合は、孫が子に代わって相続します。(代襲相続)

◆第2順位:直径尊属(父母または祖父母)

子がいないとき、または子全員が相続放棄した場合、被相続人の父母が相続人になります。

父母がいない場合は、祖父母が相続人になります。

◆第3順位:兄弟姉妹

子も直径尊属もいない場合、または子も直径尊属全員が相続方した場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

その兄弟姉妹が相続開始時に亡くなっていた場合は、代襲相続により、その子である甥や姪が相続人になります。

◆配偶者は、常に相続人になります。

◆第1順位の直系卑属について

子が数人いた場合は、皆同順位となります。

非嫡出子も相続人になります。 母に対しては常に第1順位の相続人となります。

父に対しては、父の任意認知(779条、781条)又は裁判認知(787条)があれば第1順位の相続人となります。

死後認知があれば(787条ただし書)、認知の効力は出生時にさかのぼるため(784条)、子の相続権が認められて他の相続人に対し自己の相続分を主張できます。

継子(先妻との間の子)は1親等の姻族であって血族たる子ではないので、継親(後妻)に対して相続人とはなりません。

夫が死亡した場合の後妻の連れ子も相続人となりません。

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなします(886条1項)。

出生によって初めて人が権利能力を取得するという原則(3条1項)の例外として、胎児を既に生まれたものと擬制されています。

非相続人の子は、代襲相続が認められています。同時死亡の場合も代襲相続は認められます。

相続権喪失の効果は相続開始時にさかのぼるので、相続開始後に欠格事由が生じた場合でも代襲相続は認められます。

廃除の場合も、代襲相続は認められます。廃除とは、被相続人に対する虐待重大な侮辱、その他著しい非行を理由として、遺留分を有する推定相続人をその地位から除外することをいいます。

相続放棄は、最初から相続が無かったことになるので、代襲相続は認められません。

再代襲も認められます。再代襲とは、代襲者(孫)に代襲原因(死亡など)が生じた場合にさらに代襲相続(曾孫が相続)が生じた場合をいいます。

◆第2順位の直径尊属について

直系尊属は第2順位の相続人であるから、被相続人に子又はその代襲相続人たる直系卑属がいる場合には、相続人となりません。

もっとも、これらの者が、①すべて欠格者である場合、または廃除された場合、②相続を放棄した場合には、直系尊属が相続人となります。

直系尊属の中では、親等の近い者が優先的に相続人となります。

被相続人の父が既に死亡しており、母と父方の祖母がいるときは、母だけが相続人となります。

◆第3順位の兄弟姉妹について

第3順位の相続人であり、第1、第2順位の相続人がいないときに相続人となります。

兄弟姉妹には代襲相続が認められますが、代襲相続人は兄弟姉妹の子(被相続人のおい・めい)に限られます。兄弟姉妹の子の子には再代襲は認められません。

◆相続人にならない場合とは?

相続欠格」「排除」「相続放棄」の場合は、相続人になりません。

「相続欠格」「排除」の場合は、相続人自身の何らかの非行が原因で、相続人としての地位が奪われるというものです。

「相続放棄」の場合は、自分の意思で相続人がその地位を辞退するものです。

◆相続欠格の場合とは?

遺言を偽造したり、親をだまして遺言を書かせたり、親を殺してしまったりした場合は、当然相続する権利を失います。

被相続人等の生命又は被相続人の遺言行為に対して、故意に違法な侵害をした相続人は、その行為に対する民事上の制裁ないし私法罰として、法律上当然に相続人たる資格を奪われることになります。

◆欠格事由とは?

以下のような相続人は、欠格事由があったとして相続人にはなれません。

⑴ 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者(1号)

⑵ 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者(2号)

ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、欠格事由になりません。

詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者(3号)

詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者(4号)

⑸ 相続に関する被相続人の遺言書偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者(5号)

◆推定相続人の排除の場合とは?

家庭裁判所が、被相続人の請求に基づいて審判を下すことによって、相続権を失わせる制度です。

一定の廃除事由がある場合には、被相続人の意思によって、遺留分を有する推定相続人から遺留分権を否定して完全に相続権をはく奪することを認めています。

相続欠格が欠格事由に該当する行為によって権利を奪われるのに対して、排除は、被相続人の意思によって権利を失わせるものです。

◆排除の要件とは?

① 廃除される者が、遺留分を有する推定相続人であること

兄弟姉妹以外の相続人(1042条)であること。

廃除原因があること

虐待、重大な侮辱、著しい非行などがあること。

③ 家庭裁判所に廃除の請求をすること

遺言によって推定相続人を廃除することもできます。この場合、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならないことになっています(893条)。

④ 廃除の審判又は調停があること

廃除の効力は、被廃除者の一身についてのみ生じ、廃除を請求した被相続人に対する相続権をはく奪するにすぎません。

◆推定相続人の廃除の取消しとは?

被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます。

◆相続放棄の場合とは?

相続放棄とは、自分の意思で相続人がその地位を辞退するものです。

相続とは、被相続人の権利も義務も丸ごと引き継ぐことです。

プラスの財産も借金、債務保証などのマイナスの財産もすべて相続するのです。

プラスの財産だけもらって、マイナスの財産は引き継がないことはできません。

したがって、被相続人にマイナスの財産がある場合、放っておけば自分がその借金をかかえることになるような場合は、自分の意思相続放棄することが認められています。

相続放棄をすると、自分が初めから相続人では無かったことになり、被相続人の権利、義務を引き継がなくてもいい立場になります。

相続放棄の手続きは、自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出することになります。

この期間を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなりますので注意が必要です。

◆まとめ

1.相続があった時に、誰が相続人になるかは民法で決められていて、この相続人のことを、「法

定相続人」といいます。

2.配偶者は常に相続人ですが、などの血族相続人には相続人になる順位が決められています。

第1順位:子(直系卑属)

第2順位:直径尊属(父母または祖父母)

第3順位:兄弟姉妹

3.「相続欠格」「排除」「相続放棄」の場合は、相続人なりません

「相続欠格」「排除」の場合は、相続人自身の何らかの非行が原因で、相続人としての地位が奪わ

れるというものです。

「相続放棄」の場合は、自分の意思で相続人がその地位を辞退するものです。

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