◆「短期間に連続して相続がおこった」場合はどうなるの?
短期間に連続して相続がおこることを、「相次相続」といいます。
例えば、今月祖父が亡くなって、半年後に今度は相続人であった父が亡くなるというようなケースがこれにあたります。
そうなった場合、、相続税を納付するケースのときは、短期間に続けて相続税を納付しなければならくなってしまいます。
このようなときのために、「相次相続控除」という制度があり、この例で言えば、父の相続税の一定額を子の申告する相続税額から控除することができることになります。
■相次相続控除とは?
この制度は、相続税の負担が過重とならないよう、前回の相続税額のうち、一定の相続税額(1年につき10%の割合で逓減した後の金額)を控除しようとする制度です。
今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。
■相次相続控除が受けられる人とは?
相次相続控除が受けられるのは次の全てに当てはまる人です。
(1) 被相続人の相続人であること
この制度の適用対象者は、相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人及び相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されません。
(2) その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること
(3) その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと
■相次相続控除の額とは?
相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除しようというものです。
各相続人の相次相続控除額は、次の算式により計算した金額です。
A × C / (B – A) [求めた割合が100/100を超えるときは、100 / 100とする] × D / C × (10 - E) / 10 = 各相続人の相次相続控除額
A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
この相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額をいい、その被相続人が納税猶予の適用を受けていた場合の免除された相続税額並びに延滞税、利子税及び加算税の額は含まれません。
B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務及び葬式費用の金額)
C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間
1年未満の期間は切り捨てます。
なお、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合は、一部の計算が異なります。
◆まとめ
■ 短期間に連続して相続がおこることを、「相次相続」といいます。
■ 相続税を納付するケースのときは、短期間に続けて相続税を納付しなければならくなってしまいます。
■ このようなときのために、「相次相続控除」という制度があ ります。
■ この制度は、相続税の負担が過重とならないよう、前回の相続税額のうち、一定の相続税額(1年につき10%の割合で逓減した後の金額)を控除しようとする制度です。