◆「遺贈」を受けていたらどうなるの?
被相続人から相続人が特別に財産をもらうことを「特別受益」といいます。生前贈与が多いのです
が、「遺言」で財産を遺贈された場合も、「特別受益」にあたります。
遺言によって、財産を遺贈された場合、その目的にかかわらず、遺贈を受けた受遺者の相続分から
遺贈の価額が差し引かれます。
遺贈された財産は、被相続人の相続開始時の財産に含めて考えます。
◆特別受益の持ち戻しの免除とは?
被相続人が、遺言などで、贈与や遺贈の分について、特別受益の持ち戻しをしないと決めていた場
合は、「特別受益の持ち戻しの免除」があったとして取り扱います。これは、被相続人の自由意思
を遺留分を侵害していない限り、尊重するためです。
◆居住用不動産の贈与・遺贈に対する「持ち戻し免除の意思表示」の推定とは?
民法改正で、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、「その居住の
用に供する建物又はその敷地」について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又
は贈与について、特別受益の「持ち戻し免除の意思表示」をしたものと推定することになりまし
た。
つまり、生存配偶者の生活保障を図る趣旨から、居住用不動産の贈与・遺贈については、推定をく
つがえすような事実がない限り、居住用不動産の価額を持ち戻して計算する必要はないことになり
ました。
◆まとめ
1.遺言で「遺贈」を受けた場合は、「特別受益」になります。
2「特別受益」は、「遺産の前渡し」と見ることができるので、遺産分割の時に、特別受益を相続
財産に加えて、各相続人の相続分を決めます。(これを「特別受益の持ち戻し」といいます。)
3.被相続人が、遺言などで、贈与や遺贈の分について、特別受益の持ち戻しをしないと決めていた
場合は、被相続人の自由意思を尊重して「特別受益の持ち戻しの免除」があったとして取り扱いま
す。
4.婚姻期間が20年以上の夫婦の生存配偶者の生活保障を図る趣旨から、居住用不動産の贈与・遺贈
については、特別受益の「持ち戻し免除の意思表示」をしたものと推定することになりました。